「最近、問い合わせが減った気がする」
その感覚、景気や季節のせいではないかもしれません。フォームが壊れていて、メールが届いていないだけという可能性があります。
この不具合が厄介なのは、誰も気づけないという点です。訪問者の画面には「送信が完了しました」と表示されるため、送った側は届いたと思っています。受け取る側は、そもそも何も来ていないので気づきようがありません。
この記事では、原因の切り分け方と確認手順をご説明します。まずはご自身のサイトで一度テスト送信してみてください。
まずやること:テスト送信
3分で終わります。次の手順で確認してください。
- 自分のサイトの問い合わせフォームを開く
- 「テスト送信です」と書いて実際に送信する
- 受信箱と迷惑メールフォルダの両方を確認する
届いていれば正常です。届いていなければ、以下の原因を順に確認していきます。
なお、この確認は月に一度おこなうことをおすすめします。フォームは何もしていなくても、ある日突然壊れることがあるためです。
原因1:迷惑メールに振り分けられている
最も多く、そして最も見落とされやすい原因です。
フォームからのメールは、送信者情報が実際の送信元と食い違いやすいという性質があります。「訪問者のメールアドレスから送られたように見えるが、実際にはサーバーが送っている」という形になるためです。
受信側のメールサービスはこれを「なりすまし」と判断することがあり、迷惑メール送りにしたり、そもそも受け取りを拒否したりします。
対処法
フォームの設定で、送信元アドレスを自分のドメインのものにするのが基本です。
- 送信元(From):`info@自分のドメイン.com` など、サイトと同じドメインのアドレス
- 返信先(Reply-To):訪問者が入力したアドレス
この設定にしておけば、迷惑メール判定を受けにくくなり、返信ボタンを押せば訪問者に返信できます。多くのフォームプラグインで、この設定が初期状態のまま放置されています。
原因2:転送設定が切れている
サイト用のメールアドレス宛に届いたメールを、普段使っているGmailなどへ転送している場合、この転送設定が止まっていることがあります。
よくあるのは次のパターンです。
- サーバーのメールボックスが容量上限に達し、新着を受け取れなくなっている
- 転送先のアドレスが古いまま(退職者のアドレスなど)
- サーバー移転時に転送設定が引き継がれていない
サーバーの管理画面でメールアカウントの容量と転送設定を確認してください。特に容量オーバーは、何年か運用していると自然に起こります。
原因3:プラグインの更新で壊れた
フォームプラグイン自体、あるいは関連するプラグインの更新をきっかけに、送信処理が止まることがあります。
「最後に問い合わせが来たのはいつか」を思い出してみてください。その時期に更新作業をした記憶があれば、それが原因の可能性が高いです。
更新にともなうトラブルを防ぐ方法はプラグインの更新は危険?安全にアップデートする手順にまとめています。更新後にフォームの動作確認をする習慣があれば、この種の事故は防げます。
原因4:サーバーのメール送信制限
レンタルサーバーには、スパム防止のために1時間あたりのメール送信数に上限が設けられています。
通常の問い合わせフォームで上限に達することは稀ですが、スパムボットに大量送信された場合は制限にかかります。その結果、正規の問い合わせまで送れなくなります。
心当たりがある場合は、フォームにスパム対策(画像認証や、人間には見えない入力欄を使った判定)を追加してください。
原因5:入力内容による送信エラー
特定の条件でのみ送信に失敗するケースです。
- 添付ファイルのサイズが上限を超えている
- 本文が極端に長い
- 特殊な記号や絵文字が含まれている
この場合、自分のテスト送信では問題なく届くため発見が遅れます。「一部の人からだけ届かない」という状況であれば、これを疑ってください。
確認の順番
効率よく切り分けるための順序です。
| 順番 | 確認内容 | 難易度 |
|---|---|---|
| 1 | 迷惑メールフォルダを見る | すぐできる |
| 2 | メールボックスの容量を確認 | すぐできる |
| 3 | 転送設定が生きているか確認 | すぐできる |
| 4 | フォームの送信元アドレス設定を見直す | やや専門的 |
| 5 | プラグインの更新履歴を確認 | やや専門的 |
※1〜3で解決することが多くあります。
取りこぼしを防ぐ2つの仕組み
原因を直すだけでなく、再発しても気づける状態を作っておくと安心です。負担の少ない方法を2つご紹介します。
1. 自動返信メールを設定する
問い合わせをくれた方へ「受け付けました」という自動返信を送る設定です。ほとんどのフォームプラグインに機能があります。
訪問者への丁寧な対応になるのはもちろんですが、もう一つ効果があります。自分宛に届かない不具合が起きたとき、送信者から「返信が来ない」と指摘される可能性が高まります。沈黙のまま失われるより、はるかに良い状態です。
2. 送信内容をサイト内に保存する
メール送信とは別に、問い合わせ内容をデータベースに記録する機能を持つプラグインがあります。
メールが届かなくても記録は残るため、後から確認できます。メールは経路上の要因で失われることがある一方、サイト内の記録はそれとは独立しているためです。
問い合わせが売上に直結するサイトであれば、この二重化は検討する価値があります。
失われた問い合わせは戻ってきません
この不具合の怖いところは、被害が数字に表れないことです。
サイトが表示されなくなれば誰かが気づきます。しかしフォームが壊れても、見た目は完全に正常です。半年気づかなければ、半年分の問い合わせが失われます。
そして届かなかった問い合わせは、後から取り戻すことができません。送った側は「返事をくれない会社」だと判断して、次の候補に移っています。
フォームまわりで確認しておきたい設定
届く・届かないとは別に、次の3点も確認しておくと安心です。いずれも機会損失に直結します。
スマートフォンで入力しやすいか
訪問者の多くはスマートフォンから入力します。入力欄が小さすぎないか、送信ボタンが押しやすいかを実機で確認してください。パソコンだけで確認していると気づけません。
必須項目が多すぎないか
住所や電話番号まで必須にしていると、それだけで離脱が増えます。最初の接触に本当に必要なのは、名前とメールアドレス程度です。詳細は返信のやり取りの中で聞けます。
送信後に何が表示されるか
送信ボタンを押した後、「送信されました」と明確に表示されているかを確認してください。表示が分かりにくいと、届いたか不安になった訪問者が二重に送信することがあります。
いつ返信するのか(例:1〜2営業日以内)を書き添えておくと、より丁寧な印象になります。
まとめ
フォームの不具合は、サイトのトラブルの中で最も損失が大きく、最も気づきにくいものです。
対策はシンプルで、月に一度テスト送信するだけです。カレンダーに登録しておくことをおすすめします。3分の作業で、機会損失を防げます。
もし今回テスト送信して届かなかった場合は、いつから届いていないのかを推定してみてください。最後に問い合わせを受け取った日が分かれば、その頃に何をしたか——更新作業、サーバーの設定変更、メールアドレスの変更など——から原因を絞り込めます。
そして復旧したら、その期間に問い合わせをくれたかもしれない方への手当ても考えてみてください。サイトに「一時的にフォームに不具合がございました」と一文掲載するだけでも、再度連絡してもらえる可能性があります。
このような定期確認をまとめて任せたい場合の選択肢については、WordPressの保守とは?で解説しています。
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